すっかり出無精になった私たち

猫のパパ、ママ

 わが家には三匹の猫がいます。そのうちの二匹、シーちゃん(写真上 雑種の雄・八歳)とクーちゃん(写真中 ロシアンブルー混の雄・六歳)は夫の持参金ならぬ持参猫です。

 もう一匹の「ノンちゃん」は昨年のの11月駅前に拾てられていたコで、夫が連れて帰ってきました。病気がちだったので、ほかの二匹からは隔離し、夜通し交代で看病しました。おかげで今ではすっかり元気です。  最初に見たとき、その姿形からヒマラヤンだと思い込み、「長毛種のネコがきたぞ!!」とみんなに自慢しましたが、一ヶ月たち、二ヶ月たっても毛がのびてこず、猫通を自任する私としては恥ずかしい思いをしました。結局シャムの混血だったようです。

 シャムには長くてしなやかなシッポがつきものですが、ノンちゃんにはそれがありません。ツブ貝のように、ねじれた5センチほどのシッボがついているだけです。

 でも、性格はシヤムそのもの。活動的で、好奇心旺盛で、私がこっそり何かをしようとしても、どこからともなく現れ「ね、ね、ニャにしてるの?ぼくも、ぼくも。ニャかま(仲間)に入れてよ」と、頭を突っ込みます。

 で、ついたあだ名が「どこでもノンちやん」この原稿を書いている今も、紙の上に乗ったり、背中に乗ったりしています。少々手が焼けますが、憎めないコです。

 夫は昔から猫好きで、家に帰ると、私よりまず「ただいま〜〜〜。シーちゃん、クーちゃん、ノンちゃん」と三匹の猫を呼び集めます。そして、おんぶにだっこ、顔にスリスリ、チュッチュッ。

 やきもちを焼く気も欠せ、見て見ぬふりをしています。

 ノンちゃんが来るまでは二匹の猫に留守番をさせ、テントを担いで週末登山に出かけていましたが、最近はせいぜい近所のやぶ山に登るだけ。すっかり出無精、デブ性になりました。

 子どもがいないので猫のパパ、ママ状態ですが、これからも二人と三匹で仲良く暮らしていきたいと思っています。


以上の文章は 朝日新聞社発行「週刊朝日」1996/9/6号 定価280円

"どんなくらぶ犬ばか猫ばかペットばか"(85ページ)のコーナーに掲載していたたきました。



猫の恩返しの作者たち

長男のシーちゃん

次男のクーちゃん


三男のノンちゃん



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